今月、2つのワークショップに参加した。
1つめは即興演奏のワークショップ。名は「ピアノアピ」。元々は千野秀一・新井陽子の両氏が立ち上げたワークショップで、ピアノを2台使えるのが前提のもの。変遷があって、今では古参の参加者が運営を担って楽器や楽器でないものを持ち寄っての即興演奏ワークショップとなっている。1回で4時間、それを年に4回ほどのペースで、かれこれ5〜6年は続いているだろうか。楽器の演奏経験がなくても自由に参加出来て、上手いも下手もない、音そのものや音を介したコミュニケーションという好奇心を原動力に続いている。私が高円寺グッドマンで月イチのレギュラー出演をしているのも、このワークショップが2段ロケットの2段目の役割を果たしたのである。
ちなみに1段目は私が東京に転勤になって間もない頃に no protocol というユニットに参加してライブに出演した事なのだが、そのライブをきっかけに知り合った方がつい先日亡くなられた。長く疎遠だったものの一昨年くらいに SoundCloud に音楽が公開されているのを聞いて健在であることを喜んだというのに、残念極まりない。つくづく悔やまれる。
2つめは音響詩のワークショップ。足立智美氏が主催。
音響詩というのは言葉の持つ意味から逸脱して、言葉を構成している音をバラして組み直すなどの手法を用いた詩。一般的な詩の朗読のつもりでいると支離滅裂な声を聴くことになって面食らうが、とても面白くて知的好奇心を刺激されまくっている。しかし、なかなかお目にかかれない芸術で、Wikipedia では日本語の項目が無いなど知名度も低い。このワークショップも日本で開催されたのはこれが初ではないかとの事。6時間のうち前半の3時間が音源や映像を交えた座学で、後半の3時間は参加者が作成してパフォーマンスする時間となった。もうひとつ視覚詩という詩も存在して、こちらはレイアウトが解体・再構築される。
単に知識を集めるのであれば図書館へ行ってもよし、インターネットを利用するのもよし。それがワークショップになると現実に目の前で物事が進行して影響されるし、また、自分が動くことで他者の影響を目にすることにもなり、面白い。いかんせんこういう機会は都市部が恵まれているのは否めないけれど、興味がある分野で参加もしくは見学でも出来るチャンスがあれば足を運んでみるのをお薦めしたい。
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