2012年6月20日水曜日

電力問題についての私の考え

経緯
Twitter あるいは Facebook でご覧頂いている方々は既にご存知と思われるが、「擬法第二番 カットアップ野田首相」を上演前後から、漠然としていた原発再稼働反対・脱原発の立場だったところへ1つのはっきりした指向性を得た。そのおかげで自分にとって初めて地に足を着けて物を考えることが出来るようになったのだが、残念ながら、Twitter や Facebook でよく目にする原発再稼働反対・脱原発の論点が的外れにしか感じられなくなってしまった。

主題
私がこの問題で最も重きを置くのは、経済活動である。悲しいことに、心中で批判している当局や推進派の新聞社が言っていることと大差なくなってしまう。しかし、ここは声を大にして言いたいのは、場当たり対応に隠蔽など繰り返し繰り出してくる人間が居座ったまま拙速に再稼働が行われる事には私も失望を感じている。しかし、電気料金の値上げに計画停電があれば製造業がダメージを受けて、被災者の補償が十分に行われていないところへ失業者増という共倒れが危惧される。つまりは、製造業を守るという点では再稼働もやむなしという政府発表と同じ結論に達してしまい、泣きたくなるほど口惜しい思いをしている。

切り分け
上記の通り不本意ながらもはっきりと考えがまとまったところで、Twitter や Facebook で盛んに出回っている脱原発・反再稼働の新聞記事やブログ記事に目を通して、大半が経済活動の事にまったく触れていないことに愕然とした。要するに、政府のやり方が不味い、電力会社は信用出来ないと声高に訴えているが、その訴えだけでは、ただでさえ円高や電気料金の値上げで体力を削がれている製造業にとって弱り目に祟り目なのだ。いくつか脱原発・反再稼働のデモ活動を発信しているサイトを見たが、賛同者に上がっている方々を見て、冷蔵庫の開け閉め回数を減らすとか、天井の蛍光灯の本数を半分に減らすとか、そういう次元でしか物を考えてないんじゃないかと心配になった。脱原発・反再稼働の立場で経済活動に向き合った論点は次の2点。

原子力発電がなくても電力は足りる
大量生産・大量消費からの脱却

前者は、自然エネルギーの供給は時間がかかるので中長期的なスパンで、元々水力と火力でまかなえるという論である。残念ながら「火力発電の老朽化と燃料費の高騰」で潰されている。後者は「それだ!」と思ったものの、大きな転換で、自然エネルギーへの置換と同じくらい持続的な活動を続けなければならないと思う。

現時点のまとめ
私がやれそうな事は、当局批判・電力会社批判は他人にまかせて、経済活動にも目を向けた意見を探して紹介すること、言葉にすることである。

擬法第二番 カットアップ野田首相

6月16日土曜日、しばてつさん主催の「近況vol.40」に出演した。 http://www4.plala.or.jp/soodemonai/kinkyo/kinkyo.html


今回は作品の説明をしたいと思う
演奏を構成するのは外見上 PC・トランペット・お茶犬である。お茶犬はリンクにある通りの懸賞品で、たまたま当たった。詳細は、Debian Linux で pd・Python・Perl・OpenJTalk の複合システムを立ち上げて、トランペットで鳴らした音程に従い野田首相の大飯発電所の再稼働を表明した会見のテキストを人工音声で読み上げるという物である。人工音声は FM トランスミッタでお茶犬のラジオから鳴らした。

平成24年6月8日野田内閣総理大臣記者会見
http://www.kantei.go.jp/jp/noda/statement/2012/0608.html

トランペットの演奏は最初と最後だけ決めてあって、中間は即興演奏を予定していた。実際には後述のトラブルですっ飛んで全部即興演奏にしてしまったが、それはともかく、野田首相の会見に「カットアップ(ウィリアム=S=バロウズ)」手法を施す目的は達成した。


本番、PCのトラブルで急遽出番を交代
トラブルについては迷惑をおかけしてしまった。原因は、当日はバッテリーで十分もつだろうとアダプターを接続しないで準備しておいたら、バッテリー駆動の時だけサスペンドに落ちてしまうのを失念しており、サスペンドからの復帰で何らかのプロセスが不具合を起こして OS の動作が不安定になってしまったのである。コンサート本番でリカバリの為に kill コマンドを叩く日が来るとはまったく予想していなかった。出番を最後にまわしてもらったことで電源オフからの立ち上げ直しで上演は果たした。

2012年5月21日月曜日

批評考ー追記ー

ある酒席にて
先日、ネット上で氾濫している批評を指して、本来批評とはそんなもんじゃないだろうという話題が挙がった。些細な事であっても即ネットワークに乗せられる昨今、批評と言いつつもそこに思慮が欠けてるんじゃないか、というもの。映画にしろ音楽にしろ浮沈に関わるが、その感想やら何やら書いて人に見せるのが気楽になって、無邪気と言えば無邪気だけれども、それに「批評」というラベルを付けられたものが問題で、苦くても薬だから飲めたものが、ただの苦い毒だったりするようだ。

36歳になって司馬遼太郎を初めて読んだ
食わず嫌いしていた司馬遼太郎を、誕生日が同じという理由で読み始めて、つい最近2作目を読み終えた。ちなみに1作目は「最後の将軍」、2作目は「覇王の家」。結果的にとはいえ、徳川幕府の最初と最後だけを逆順に読むという暴挙である。
司馬遼太郎という名前だけはよく見聞きする。そして、作品を読む前は小説だと思っていた。時代背景に沿って何某がこんな事をしたという史実を、渋くドラマ仕立てに書き上げたものなのだろうと。NHKが毎週日曜日の夜に放映している番組を大河ドラマと言っているわけだし。ところが実際に読んでみると、この作品の魅力はドラマチックな文章にあるのではなく、司馬遼太郎の批評眼にあるのがわかった。人物評、政治評、戦術評が織り交ぜられている。ドラマは読んだ私の頭の中で勝手に出来上がっていく。「なるほど、そういう事か!」と驚いた(どんだけ今更)。

ひとつテーマがあるので自分でも書いてみる
よしじゃあ自分でも書いてみよう!と思い立つ。まずはっきりさせておきたいのは、「批評」と「批判」の違い。調べてみると両方ともほぼ同じ意味だったのが、習慣で「批判」の方がネガティブな文脈にしか使われなくなっている現状がある。それがどうも私の印象だと、「批」の字に引きずられて「批評」もネガティブな事を書けば良いもんだという雰囲気がある。冒頭で「そんなもんじゃない」と話していたのがその点で、それには抗って、良し悪し両面を忠実に書きたいと思っている。後ほどか、後日か、ここに追記して添付する形で公開してみたい。

批評「2012年5月20日 ライブ vol.5
批評ってこれで良いのだろうか……これが批評されれば本望。

2012年5月16日水曜日

楽器考

5月11日金曜日、U::Gen Laboratrium に行った時のこと
ここのところ仕事が不安感を漂わせつつも落ち着いているおかげで、退社後に大崎まで行って l-e で開かれるライブに行った。というのも、方法マシン時代に交流があった吉原太郎氏と、同じころにアクースモニウム(2個より多いスピーカーを配置する音響作品)を通じて知り合った由雄正恒氏が出演すると知り、これは良い機会といそいそと出かけたのである。
冒頭でリンクしている通り、U::Gen Laboratrium は大谷安宏氏が主催しているイベントとある。私は U::Gen という語からコンピューターで音声を合成するプログラミング言語を連想するのだが、実際は当たらずとも遠からずといった内容で、そんな事より私が仕事の都合で東京に出て来たばかりの頃によく耳にした音楽を多く聴くことが出来て、「そういえば俺、こういう音楽好きなんだった。」と思い出させてくれた。

好きなのを思い出した音楽とは
当時の私は「エレクトロニカ」という大きな括りで聴いていたが、少し詳しくなると「チルアウト」「電子音響」、そして「ミュージック・コンクレート」という語を知るのはもっと後の事である。日常的に聞こえてくる音を録音して素材とし、他の音と重ねたり再生速度を変えるなどの変調を施して、音響で心象風景を描く。とかく人工的な「長調だから明るい/短調だから暗い」曲調とは違う、音から受ける印象にじんわりと沈み込んでいく感じがする。
そんな中、主催の大谷安宏氏が演奏したのは IRCAM が開発したリード楽器の物理モデリング音源を、ボタンが多数配置されたパッドでリアルタイムに演奏するというものだった。これは一転して楽器による即興演奏と言える。Mac でパラメータを処理して音を合成しているので電子音なのだが、その発音原理はあくまでもサックスなどのシングルリードの木管楽器に準じている。見てると必死にボタンを操作しているのだが、音が出たり出なかったり、出たと思ったら耳障りなミスリードの音だったりと、恐らくやってる方も予測不可能なのだろうという展開だった。

それらを通してひとつスッキリしたこと
くどいようだが、私はひとつの事に長く集中して取り組むことが出来ずに、楽器ひとつ取っても電子楽器とアコースティック楽器を行ったり来たりしている。そこには自然にアコースティックかエレクトリックかという分類がついて回る。しかし、エレクトリック楽器においても精神的にはアコースティック楽器として接しているものがある。エレキギターのような弦楽器は元より、シンセサイザーの中でもアナログシンセサイザーや、より生楽器に近いオンド・マルトノという電子楽器も存在する。そのポジションの落としどころが定まらず、楽器が好きな友人知人で集まるといつしか堂々巡りに陥る話題の一つになっていた。
それが今回のライブイベントで、ミュージック・コンクレートと物理モデリング音源の演奏を聴いて、「一度空気を振るわせた事のある音を加工して出す楽器(機材)」と、「発振器から出た振動を加工してから初めて音を出す楽器(機材)」という分け方が出来る事に気がついた。前者はテープレコーダーやサンプラー、PCM音源によるシンセサイザーもこれにあたる。なお、蓄音機なら電気を使わない。後者が問題で、アコースティック楽器にエレキギター、アナログシンセサイザー、オンド・マルトノ、それに PC を使用した DSP も同じ括りに出来るのが大きな意識の変化になった。特に私の場合、シンセサイザーと一口に言えども、アナログの力強い音も、PCM 音源でガムランの音や弦楽器の音を簡単に重ねたり切り替えたりして使えるのも、両方とも魅力を感じている。いざ音を鳴らし始めると割と何も考えてなかったりするけど。

どうせならもうひとつスッキリしたい
「一度空気を振るわせた事のある音を加工して出す楽器(機材)」と書いた方、こちらは端的には「サンプリング」と一言で言い表す事が出来る。一方、「発振器から出た振動を加工してから初めて音を出す楽器(機材)」というのはアコースティック楽器を含むからには「オシレーター」と言うのも無粋で、一言でうまく言い表せない。そこで、どうせ自己満足なんだから言葉も作ってしまえと、録音した音を鳴らす方を「カリフラ楽器」、物体を振動させたりする方を「ブロッコ楽器」と言うことにした。そして、PC のように両方に使えるものは「アブラナ楽器」。私がニコニコと楽器の話をしている間、頭の中ではそういう語で表現していると見て間違いないのであしからず。

追記
「ブロッコ楽器」と「カリフラ楽器」の両方を受け持つ楽器を「アブラナ楽器」としていたが、「ロマネス楽器」に改める。ロマネスコという野菜があるのを知らず、調べてみたらドンピシャで驚いた次第。

2012年5月4日金曜日

poor man's DTM environment

このゴールデンウィーク中にテクノを2曲アップ。

deskwork
http://soundcloud.com/yeemyu/deskwork
train trip in the rain
http://soundcloud.com/yeemyu/train-trip-in-the-rain

作成には、Milkytracker というアプリケーションを使用した。MODというファイル形式のうちの1つ、XMファイルでの作成である。

http://homepage2.nifty.com/moriyu/files/deskwork.xm.zip
http://homepage2.nifty.com/moriyu/files/ttrain.xm.zip

歴史のお時間です。
どうした風の吹き回しか、と思われる方がおられるかどうか。今でこそ即興演奏がメインだが元々はテクノが好きで、KORG N1というピアノ鍵盤のシンセサイザーのGMフォーマットで曲を作ってはテクノ専門のMIDIファイル投稿サイトに投稿して、のちに.logというホームページを作って自前で公開するようになった経緯がある。時は20世紀の終盤、テレホーダイからADSLが主流になってインターネットが急成長する頃で、光回線が普及し出す前夜といったところになる。
通信速度の観点からすると、ADSLやケーブルテレビの回線を引いた家庭では今の携帯電話あるいは公衆無線LANと良い勝負、そうでなければ携帯電話より劣る通信速度でインターネットを利用していた事になる。そこへ持ってきて、パソコンに音楽を録音したそのままのファイルは非常に大きく、そのまま送ったら1分の曲に1時間かかるのではというもの。そこで、パソコン通信時代から音楽を共有する手段の一つにMIDIファイルがあった。音が出るハードウエアを各自持っている必要があるものの、そのハードから再生するのに必要な信号(ドを鳴らせ、音色を10番に変えろ、など)だけのデータなので、当時主流だった圧縮形式LZHに圧縮すると数KBで1曲フルで送ることが出来た。なお、この頃に坂本龍一氏はMIDIピアノを使ってMIDI信号のリアルタイム送信を行い、各家庭のMIDIピアノにコンサートの演奏を届ける実験的なコンサートを実施している。
つまり、音楽を共有するにあたっては今とは比べ物にならないほどファイルサイズと機器のコストに神経を尖らせていた。高価な外付け音源がなくてもMIDIファイルを再生出来るソフトウエア音源が生まれたのも、MP3という圧縮形式が生まれたのも同時期。特に前者はその後VSTインストルメントといったソフトウエアシンセサイザーへ進化を遂げる。

ようやく本題です。
さて、音色の配列や命令に互換性が問われる外付け音源向けの音楽ファイルのやりとりとは別に、パソコンの内蔵音源に演奏させる形式が存在した。古くはPSG音源、少し進んでFM音源、もう少し進むとPCM音源がプラスされる。ここで問題になるのが最後のPCM音源である。この形式は録音した音をそのまま再生する為のもので、例えばピアノであればドの音を「ポン」と出したものを録音しておいて、音程を変化させたり、その中間部をループさせたりすることで擬似的にピアノの音源とすることが出来た。要するに、どんな楽器であれ特徴的な部分だけ録音しておいて後はパソコンの方で処理するので、これも非常に小さいファイルサイズで1曲丸々再現可能になった。外付けの音源が不要になり、互換性も気にしないで済むようになったのである。
このパソコン内蔵のPCM音源をフル活用したのが、Amigaに端を発するMODというファイル形式。Demosceneという、どれだけ小さいプログラムサイズで度肝を抜く映像作品を作るか競う文化が海外にあり、そこからスピンアウトした技術という認識でいる。この形式で音楽を作成するツールが無料で公開され、音の素材も外から手に入れたり自力で録音したりすることで、元手をかけずにかなりのクオリティーで楽曲の作成から公開が出来るのである。ただし、五線譜で曲を打ち込みたいとか、エフェクターを使用したいといったユーザーフレンドリーな要求は一切受け付けない仕様なので、どちらかと言えばプログラマー向けのツールと言える。
私がMODを初めて知ったのはかれこれ10年ほど昔。音楽が光回線その他でMP3やストリーミングでバンバン飛んでくる世になって存在意義を失いつつある形式なので、当時お世話になったサイトが今でも残ってるか不安だったが、あった。

波平会
http://www.mars.dti.ne.jp/~odaki/mod/index.html

今こそ「NHKにようこそ!」である(否)。PCの環境が様変わりしていても、MODについての記述は今でも十分通用する。私のメイン環境はLinuxで、作成に Milkytracker、聴くには Open Cubic Player を使用している。Windows、Mac、スマホでも再生できるアプリが存在する。今でも細々とではあるものの続く音楽の軽量なファイル形式で、昔とった杵柄よろしくテクノな曲を打ち込んでみた訳である。

The MOD Archive
http://modarchive.org/

2012年4月28日土曜日

擬法第一番 道路交通情報

4月21日土曜日、しばてつさん主催の「近況vol.38」に出演した。
http://www4.plala.or.jp/soodemonai/kinkyo/kinkyo.html

この日に向けての準備は4月1日から始めていた。婚姻届を書いて役所に持って行った、その日である。丸一日ほぼカンヅメになる準備作業は1回で済むと思っていたものの、1日の1回目を失敗(のちに失敗ではなく早とちりと判明)し、翌週の2回目は風邪で寝込んで失敗、本番1週間前のラストチャンスでようやく成功という、なんとも心もとない進捗をたどった。
なお、2週目に風邪で寝込んだと書いたけれども、1週間かかってなんとか回復。ピアノの演奏についてもピアノを置いているスタジオを借りて指を慣らした。人事は尽くした訳で、後は天命を待つばかりである。そして当日の朝、起床時に布団から上半身を起こし、携帯電話をとろうと右に身体をひねった体勢で出た一発のクシャミで、背中の右半分に激痛が走った。昔、肺気胸で痛くなったところとまったく同じ箇所。それが天命だった。

思い過ごしですた。
「今度は救急車を呼んで下さいね!」と怒られた肺気胸の再発かと思い、もはや起きることも寝る事も、深呼吸も痛くて出来ずに頭の中が沸騰した。まだ気胸と決まった訳ではなく、もしまた肺に穴が開いたのだとしても、小さければ2〜3日はもつという。とにかくコンサートには出たい。痛みを我慢してじわじわと仰向けに寝ると、1時間様子を見ると決めた。1時間で痛みがひいてくれば出る、そうでなければ #7119 に電話。その結果、1時間で立てるくらいには痛みがひいてくれたのである。

そして今では。
本番は痛いなりにも問題なく演奏ができた。結婚を祝っていただく光栄に浴すことも出来て、さらには浅草にあるオンドマルトノカフェにまで行って、大変有意義な時間を過ごす事が出来た。右の背中から脇腹にかけての痛みは、医者に診せていないけれども、どうやら肋間神経痛らしい。いまでもまだしこりのように痛みがある。それより今問題になっているのが、朝起きたら顎が痛くて奥歯が全く噛み合ない状態になった事である。食事がまともに出来ず、たまらず歯科医院で診てもらった。埋まったままの親不知が影響しているとの診断だった。それ以来、うどんかお粥を食べる日々が続いている。

2012年4月13日金曜日

結婚でドタバタ

平成24年4月1日、入籍しました。
年度初めが日曜日というハレの日としてなかなか良いんではないかと思ったが、しかし、世間一般にはエイプリルフールでお祭り騒ぎである。ネタだと思われるリスクは承知の上で、さらりと「婚姻届を提出して入籍しました」とかなんとかツイート──自動的にFacebookにも投稿──した。これがまずかった。
業界騒然(笑)
談:池田拓実氏(第4回AACサウンドパフォーマンス道場優秀賞受賞)
お祝いのお言葉をたくさん頂いた中には、恐れ多い方々から「ネタかもしれんが、とりあえずおめでとう。」のようなコメントも寄せられ、当の本人は慄然。とにかくお詫びと共に、役所でもらった婚姻届の預り票の写真を添付して本当である旨を訴えるという、なんともみっともない事になった。

このようないきさつを一笑に伏して頂ける事を願いつつ、
今後ともご指導いただけますよう、宜しくお願い申し上げます。


おかげで、エイプリルフールを全く楽しめなかった件
去年のネタは今でも憶えている。「ふえるワカメちゃんが細胞分裂で増える」というのがそれ。私のエイプリルフールは紛らわしさのない大言壮語を旨としており、その時はふえるワカメちゃんが2の10乗代目、20乗代目……と天文学的数値の世代交代を経て、飛行能力の獲得、人類とのハルマゲドン、そして融合という弐瓶勉氏に影響を受けたオチまで付けて連投、独り悦に入る、というのが去年のエイプリルフールだった。今年も去年に劣らないネタをひねりたかったのだが、とてもそんな余裕がなかった。来年こそは。

2012年3月10日土曜日

引越しでドタバタ

ほぼ2ヶ月ぶりになるブログ更新。
2月、まずは仕事が忙しかった。1月中はプロジェクトメンバーの全員が遅くても19時には退社する日々で順調だったのが、2月に入ってスケジュールがおしているらしい事がわかり、後半ともなると一週間のうち帰宅したのが二日のみというプロパーが現れるに至った。そのヤバさが参画しているメンバーに伝わって来ず、自分に与えられた仕事が終わって帰ろうとすると呼び止められて仕事に戻されるという異常事態が頻出した。その挙句、同報メールで平たく言えば「良いと言うまで帰らないで下さい」という通達が届く始末。この業界で仕事してて長時間の残業・徹夜は日常茶飯事だが、それはあくまでもスケジュールが見えててやらなきゃ間に合わないのを自分で判断しての事で、仕事を小出しに与えられて先が見えずに残業したのは初めての事だ。

その多忙を極めた時期に引越し。
秋に部屋の更新があり、その直前の夏に引っ越すくらいのつもりでいたら、2月いっぱいで地下の倉庫とセットになっている部屋が空くがどうだろうか、という話が舞い込んだ。夏のボーナスを引越し費用のあてにしていたのを繰り上げて引越しに踏み切ったのだが、これがキツかった。業者を使わず、シェアリングで使っているスズキ・ラパンとレンタカーの軽バンで数日間・何往復もして引越し。二人暮らししていて大半が自分の荷物で、本が多い・シンセサイザーがデカくて重い、しかも平日は帰宅が日付をまたぐ日々で全然手をつけられなかったのも重なって、2月末に間に合わず契約を3月に入って日曜日まで延ばしてもらってようやく終わった。これを書いている今も部屋は雑然としたままである。

新生活?
地下の倉庫で多少の音量なら楽器の練習が出来ると踏んで尺八はそのままで、トランペットはさすがにミュートを装着して音を出している。もっと整理したら以前の部屋ではしまったままになったシンセサイザーを使えるように置けるかもしれない。夜10時以降の音出しは遠慮するようにしており、それにそもそも倉庫で使っている地下に夜中一人で居るというのは気分の良いものではなく、携帯電話の電波も時々は入るという程度。電波で思い出したが、部屋のインターネットは思い切って光回線を解約してWiMAX一本にした。HD画質の動画観賞は無理っぽいが、従来の画質までなら問題ない。
3月からは仕事も変わったし、少し前からアイザック=アシモフのミステリー「黒後家蜘蛛の会」シリーズを読むのが楽しみになった。加えて、英語は「多読」という学習法が注目されているらしく、それならと同じくアシモフの「ISAAC ASIMOV'S GUIDE TO EARTH AND SPACE」という科学読み物の洋書を読んでいる。「風が吹くのはなぜ?」といった質問に4頁くらいで答える形式で、読みきる分量がちょうどいい。今度こそ続けられる気がする。

2012年1月16日月曜日

Looperを作ってみた

金が無きゃ頭と手と時間を使う
エレキギター向けのコンパクトエフェクターの1つにルーパーという物がある。その代表格は BOSS の Loop Station シリーズ で、どんな物かはリンク先のデモあるいは Ustream の録画より「Hirasawa監視50000秒 2011/11/26 13:35」をご覧になると分かるかもしれない(機種は不明)。端的に言えば、録音するとすぐさま再生が繰り返されて新たな音を重ねることが出来る機械である。レコーダーと言えなくもないが、演奏の手を止めることなく簡単に多重録音が出来るのが大きなポイント。

そんなルーパーが欲しいには欲しいのだが、他のエフェクターと比較して少々お高い。やってることはシンプルなので、PC 上で簡易的な物が作れないかと pure data で作ってみた。


1つのパッチに複数トラックを実現するのではなく、1つ作ったらファイルをコピーして、録音する wav ファイル名を変えて保存したというインスタント仕様。その代わり、マシンパワーが許す限りコピーした分だけトラック数を増やせる。また、先日のブログに書いたように HTC HT-03A から OSC を飛ばしてスイッチングできるが、思ったほど使い勝手が良くないので、単純にどれかキーを叩いたら動くようにするかもしれない。

作成中にハマった落とし穴をひとつ。
録音は前述の通りハードディスクに wav ファイルとして書き出している。緑色の部分をクリックするとファイルへの書き込みから読み出しに切り替わるのだが、書き込みを終えてファイルをクローズする際にわずかながら時間がかかるため、再生を同時にしてしまうと読み出せないようである。それは宿命みたいなものなので、trigger でも早いらしく del 10(1/100秒の遅延)を挟み込んで一瞬だけ再生を遅らせている。

これを使って Ustream でパフォーマンスしようかと少し調べたけれど、Linux からは難しいみたいね……

2012年1月6日金曜日

使える事に使う

捨て置くには忍びない道具
去年まで、というのはほんの1〜2週間前までなのだが、携帯電話は HTC HT-03A を使っていた。すでに型落ちで半額になっていたところを購入して2年縛りで使い続けていたスマートフォンである。Android のバージョンは 1.6 からアップデート出来ず、いい加減くたびれたのでSIMフリーである SONY Ericsson Xperia Pro を友人から安く譲ってもらい乗り換えた。これで HTC HT-03A とはお別れ……

で終わりにしないのが貧乏性理系脳である。というのも、手の平サイズでタッチパネル・カメラ・3軸加速度センサー・デジタルコンパス等々を搭載し、電話回線がなくとも WiFi でネットワークに繋がる道具を放っておくなんて手はない。最近は書籍も充実してきた Kinect とは比べるべくもないが十分だろう。そこで思いついたのが、目覚まし時計兼 OSC を PC に送るコントローラとしての余生だ。


以下、専門的な記述が続く
まず、OSC というのは上記で Wikipedia にリンクを貼ったが簡単に説明すると、電子楽器やコンピューターに音楽情報を送ったり受け取ったりする通信プロトコルの事。ついでに、通信プロトコルというのは「こういう信号をやりとりすること!」と決められた規約である。電子的な音楽情報と言えば昔から MIDI があるが、それよりも柔軟性が高いことから様々なアプリケーションに実装されるようになって広がりを見せている。

そこでまず、世に出回るスマホとしては既にポンコツの域に入ってしまった HT-03A に TouchOSC をインストール、そこから送られてくる各種センサーの値を受ける PC 側のアプリケーションには当初オーディオプログラミング言語 Chuck を選択していた。しかし、メイン環境である 64bit 版 Debian Linux で動いてくれず(ソースからビルドしても不可だった)、急遽 puredata(pd) に変更。ところが pd で OSC を使用するには pd-extended という拡張機能をパッケージングしたものが必要で、これの 64bit 版バイナリパッケージが存在しないのである。こちらはソースからビルドすると動きそうなのだが、1歩進むとエラーでビルドが終了、対処して1歩進むと別のところでまたエラー。このあたりでいっそ OS を i386 版で再インストールしようかと思いつめた。

しかし、そんなことしたら1月7日からの3連休が吹っ飛んで、おまけに手段が目的になってしまう。pd-extendedのエラーログとビルドプロセスの構成を丁寧に見てみると、個々の拡張機能で分かれているディレクトリ下の configure を順に呼び出して個別にビルドしているらしい。ただし、pd 本体はどこかで configure そのものを生成しているらしく単発でビルド出来ない。そして、エラーになっているのは使う気のない映像関係。そうと分かればやることは一つ、pd-extended のディレクトリ配下にある OSCx ディレクトリを、別途ダウンロードした素の pd ディレクトリ配下にコピーして来て、pd を単発でビルドしたところで OSCx だけビルドしたのである。この OSCx のビルドでも pd ディレクトリツリーのどこに置くかがすぐに分からずトライ&エラーになった。そうまでしてようやく使えるようになったっぽいが……まだ HT-03A から試せていない。

2012年1月3日火曜日

本年もよろしくお願い致します。

ほんと、よろしくお願い致します。
2010年から2011年の年越しは12月30日に京都へ行くことを思いついて即夜行バスのチケットを取得、nine hours というテクノなデザインのカプセルホテルで年を越したのだった。

2011年から2012年の年越しは高円寺のアパートで過ごして、初詣はどうしようかなとぼんやり考えていたところ、近所に馬橋稲荷神社があるじゃないか!と気づいて交際相手を連れて行ってみた。参拝を終えて長く続く列を横目に帰っていたら、KO.DO.NA氏もお二人で来られていた。KO.DO.NA氏は会うといつも生傷が絶えないというか血塗れである。この男、棺桶に片足を突っ込む状況に至っても、もう片足はいつだって火を噴くフットペダルに掛かっているのは間違いない。以下、リハーサル風景である。

「喉乾いたな……ビールだあ?小便じゃねえか!ガソリン持って来い!!」

そう言って渡されたウイスキーをストレートで空けると、間髪入れずに叫ぶ。

「次は分かってるだろうな?ニトロだニトロ!……遅え!!」

そうやってふんだくったスピリタス(alc.96%)に一度トランペットのマウスピースを浸してからやおら飲み干し、血走った目で口元に笑みを浮かべながらトランペット本体にマウスピースをセットする。この時には既に即時対応が可能な状態でフットペダルに足が掛かっているのである。下手な動きを見せるな。




何卒、よろしくお願い致します。
1月1日から2日にかけて静岡の実家で一泊。その間に掛川花鳥園に行って来た。何年か前からフクロウやミミズクで有名な植物園兼動物園としてテレビでも登場するそうで、1日3回のショーに、フクロウやワシを手に留まらせてもらえるコーナー、あと、ドクターフィッシュ(ガラ=ルファ)が放してある水場に手足を漬けるコーナーなどなど、みどころ満載である。お近くに行かれる事があれば、ぜひ立ち寄られることをお薦めしたい。

花鳥園からの帰りには地元の喫茶店に寄った。個人経営のお店で1月2日で開いてるのだから助かるが、本当のところは最初素通りした。さすがに他のお店が開いてなくて引き返して入ったのである。それが MAM'SELLE という喫茶店。私が通っていた中学校に近く、高校卒業まではよく意識にのぼったお店だが、大人の雰囲気漂うお店でとても足を踏み入れることが出来なかった。ただ一回だけ20年くらい前に、高校OBが出演するコンサートで入ったことがあるのみ。それで今回寄ってみたらとても感じが良く、それでいて良く見ると気合いが入ったジャズ喫茶で驚いた。帰省の折にはぜひ立ち寄りたいと思っている。