2012年5月4日金曜日

poor man's DTM environment

このゴールデンウィーク中にテクノを2曲アップ。

deskwork
http://soundcloud.com/yeemyu/deskwork
train trip in the rain
http://soundcloud.com/yeemyu/train-trip-in-the-rain

作成には、Milkytracker というアプリケーションを使用した。MODというファイル形式のうちの1つ、XMファイルでの作成である。

http://homepage2.nifty.com/moriyu/files/deskwork.xm.zip
http://homepage2.nifty.com/moriyu/files/ttrain.xm.zip

歴史のお時間です。
どうした風の吹き回しか、と思われる方がおられるかどうか。今でこそ即興演奏がメインだが元々はテクノが好きで、KORG N1というピアノ鍵盤のシンセサイザーのGMフォーマットで曲を作ってはテクノ専門のMIDIファイル投稿サイトに投稿して、のちに.logというホームページを作って自前で公開するようになった経緯がある。時は20世紀の終盤、テレホーダイからADSLが主流になってインターネットが急成長する頃で、光回線が普及し出す前夜といったところになる。
通信速度の観点からすると、ADSLやケーブルテレビの回線を引いた家庭では今の携帯電話あるいは公衆無線LANと良い勝負、そうでなければ携帯電話より劣る通信速度でインターネットを利用していた事になる。そこへ持ってきて、パソコンに音楽を録音したそのままのファイルは非常に大きく、そのまま送ったら1分の曲に1時間かかるのではというもの。そこで、パソコン通信時代から音楽を共有する手段の一つにMIDIファイルがあった。音が出るハードウエアを各自持っている必要があるものの、そのハードから再生するのに必要な信号(ドを鳴らせ、音色を10番に変えろ、など)だけのデータなので、当時主流だった圧縮形式LZHに圧縮すると数KBで1曲フルで送ることが出来た。なお、この頃に坂本龍一氏はMIDIピアノを使ってMIDI信号のリアルタイム送信を行い、各家庭のMIDIピアノにコンサートの演奏を届ける実験的なコンサートを実施している。
つまり、音楽を共有するにあたっては今とは比べ物にならないほどファイルサイズと機器のコストに神経を尖らせていた。高価な外付け音源がなくてもMIDIファイルを再生出来るソフトウエア音源が生まれたのも、MP3という圧縮形式が生まれたのも同時期。特に前者はその後VSTインストルメントといったソフトウエアシンセサイザーへ進化を遂げる。

ようやく本題です。
さて、音色の配列や命令に互換性が問われる外付け音源向けの音楽ファイルのやりとりとは別に、パソコンの内蔵音源に演奏させる形式が存在した。古くはPSG音源、少し進んでFM音源、もう少し進むとPCM音源がプラスされる。ここで問題になるのが最後のPCM音源である。この形式は録音した音をそのまま再生する為のもので、例えばピアノであればドの音を「ポン」と出したものを録音しておいて、音程を変化させたり、その中間部をループさせたりすることで擬似的にピアノの音源とすることが出来た。要するに、どんな楽器であれ特徴的な部分だけ録音しておいて後はパソコンの方で処理するので、これも非常に小さいファイルサイズで1曲丸々再現可能になった。外付けの音源が不要になり、互換性も気にしないで済むようになったのである。
このパソコン内蔵のPCM音源をフル活用したのが、Amigaに端を発するMODというファイル形式。Demosceneという、どれだけ小さいプログラムサイズで度肝を抜く映像作品を作るか競う文化が海外にあり、そこからスピンアウトした技術という認識でいる。この形式で音楽を作成するツールが無料で公開され、音の素材も外から手に入れたり自力で録音したりすることで、元手をかけずにかなりのクオリティーで楽曲の作成から公開が出来るのである。ただし、五線譜で曲を打ち込みたいとか、エフェクターを使用したいといったユーザーフレンドリーな要求は一切受け付けない仕様なので、どちらかと言えばプログラマー向けのツールと言える。
私がMODを初めて知ったのはかれこれ10年ほど昔。音楽が光回線その他でMP3やストリーミングでバンバン飛んでくる世になって存在意義を失いつつある形式なので、当時お世話になったサイトが今でも残ってるか不安だったが、あった。

波平会
http://www.mars.dti.ne.jp/~odaki/mod/index.html

今こそ「NHKにようこそ!」である(否)。PCの環境が様変わりしていても、MODについての記述は今でも十分通用する。私のメイン環境はLinuxで、作成に Milkytracker、聴くには Open Cubic Player を使用している。Windows、Mac、スマホでも再生できるアプリが存在する。今でも細々とではあるものの続く音楽の軽量なファイル形式で、昔とった杵柄よろしくテクノな曲を打ち込んでみた訳である。

The MOD Archive
http://modarchive.org/

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