トランペットのマウスピースを交換した後の話。
マウスピースを買ったのが11月6日の土曜日で、箱の中身が違っていることに気づいて交換してもらったのが翌日の日曜日。この日は午後1時から即興演奏のワークショップ「ピアノアピ」があるので、遅くても午前11時に部屋を出たかったのだが、前日の夜に食べたカップラーメンの香辛料が体に合わなかったらしく盛大に腹を壊して、最終的に部屋を出たのは午後1時少し前。それからまず楽器店へマウスピースの交換に行き、それから目黒パーシモンホールへと向かったのだが、到着したのは午後3時だった。トータルで4時間のワークショップなのだが、既に半分過ぎている。
即興演奏ワークショップ「ピアノアピ」。
元々はピアニストの千野秀一・新井陽子両氏が立ち上げたピアノ2台によるワークショップ「2pf」である。使用する楽器は会場のピアノ2台のみで、初期のころは内部奏法でも何でもありの様相。一度お披露目のコンサートも開いたのだが、紆余曲折あって名前が変わり、会場も変わってピアノが1台になってしまったのを受けて、今では楽器の持ち込みが可能になったというワークショップである。そういえば「ピアノアピ」という名前、ピアノが2台あっての名前なので、また変えた方が良いような……
このワークショップで長い事続いているのが絵本をネタした即興演奏である。絵本の内容に合わせて音を出すのだが、今回はちょっと変わって紙芝居だった。2つあって、1つは群れからはぐれたクジラの話、もう1つは実写の紙芝居でミツバチの生態を扱ったもの。私はおろしたてのマウスピースでトランペットを鳴らしたのだが、他にも木魚やマラカスやシェイカーなどの打楽器に鍵盤ハーモニカもあり、ピアノだけだった頃と違って多彩な音が添えられた。絵本をネタにした即興演奏以外にも、ピアノの演奏を交代しながら皆思い思いに音を出して楽しんだ。
次はバーでフリーセッション。
午後5時にワークショップが終わると、駅の近くでお茶した後に私ひとりで時間を潰して「Jammin」へ。偶然ワークショップと最寄り駅が同じで即興演奏のハシゴである。以前ここに書いたドラマー須郷さんに教えてもらったフリージャムセッションの日で、参加費を払えば誰でも演奏させてもらえるというもの。ジャズバーなのでフリーと言ってもジャズのフォーマットなのではと警戒しまくりだったのだが、全然そんなことなくフリーインプロだった。ただやはりお客さんは私と同じくトランペットやサックス・ギター・ベース、珍しいのはウインドシンセの AKAI EWI で参加した方もいる。EWI の人に話を聞くと、本当はテナーサックスをやりたいのだが住宅事情がそれを許さず、仕方なく EWI をヘッドホンで聴いて練習しているとのこと。私も尺八を練習する時に肩身を狭くしているのでよくわかる。
それにしてもこちらは壮観。どこの喫茶店でも見かけるような普通の座席で、座ってるのはほとんど全員プレイヤー。テーブルやカウンターにドッカと楽器を置いて名前を呼ばれるのを待ちつつ、演奏中の音に耳を傾ける。この雰囲気、昔テレビで見た西部劇のギャングが集う酒場である。どう見てもアウトロー。最終的にプレイヤーは12名になり、その中で私が知るのはドラムの須郷氏だけで、ほとんど初対面で名前が呼ばれたら前に出て一緒に演奏する。やはり端々にジャズらしさが出る即興演奏なのだが、ソプラノサックスの女性はスキャットを始めたかと思えば絶叫するしで、やはりここでも気は抜けない。それが夜の11時まで続いた。
ほぼ一日中即興演奏してみて。
まず「ピアノアピ」の方。楽器持ち込みが出来るようになって飛躍的に音が多彩になったけど、ピアノだけで何とかしていた以前のワークショップの音が懐かしい。モノクロ写真の風情があったように思う。ただしそれは大人向けで、子供には退屈かもしれない。ピアノだけで子供を退屈させないようにするのは技術が要りそうで難しいところだ。今回、試しに野村誠+片岡祐介「音楽ってどうやるの」を持って行ってみたのだが、失敗したのはこの本の前半「なんちゃって○○」に集中してしまった事。「○○」にはジャンルが入るのだが、わりと楽譜が書かれていて我々でパッとやるのはハードルが高かった。後半のゲームピースであれば出来たように思うし、子供でも楽しめたと思う。それにこれはワークショップに課題として作品を考えて行った頃につながる。漫然と音を鳴らすところから大きく踏み出せる。
次のジャムセッションでは、それぞれ得意とする楽器を持って相応のスキルを身につけた人々が集まった。そして、ジャズのフォーマットがうっすら感じられるのだがほとんどフリーインプロの状態。その中にあって、ドラムが重要な役割にあり、何よりも音が大きくビートを刻めば秩序が生まれる。シンバルの連打があると演奏が終わるのである。本当に即興演奏だと延々と終わらないことが多いが、きちんと終わる。予定調和と言ってしまえばそれまでだけど、大人数が参加するセッションでの進行に欠かせないだろう。「ピアノアピ」は延々と終わらない方のタイプで、このようなジャムセッションのやり方も取り入れてみると面白いかもしれない。でも、次は来年なんだよなあ。
追記
イラストレーターのシャルロット井上さんが「ピアノアピ」の様子をブログにアップして下さいました。こちらは写真も豊富です。
継続はちからなりなの?
Jammin から一枚。
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